おかげさまで、各地で星のお話をする機会が増えてきて
その土地ならではの伝説や星の方言がないかと調べる機会も多くなりました
私は物理学としての宇宙をずっと学んできたので
文化や歴史、哲学的な側面からみる天文学はとても新鮮
中でも、日本人がどのような天文観を持っていたのか
ということにとても興味があり、自分なりに調べているのですが
古典が恐ろしいくらいにできなかった(勉強しなかった)ツケが
今、まわってきているのをとても悔やんでいます
昔の日本の天文学は中国からもたらされたものが主です
(ちなみに、世界最古の星図は中国の唐の時代のものらしいですよ)
中国から入ってきたものが多いにしても
日本古来から独自に伝わっていた星の方言や伝説もあり
それらの多くは口伝えで伝承されてきました
そのため、それを話せる人がいるうちに文字として記録していないと・・・
風化してしまった星にまつわるお話もあるのだろうと想像します
星座神話界で有名なギリシャ神話では主にゼウスを中心に神話が繰り広げられますが
日本では誰か1人の神様がずっと主役というわけではなく
自然にある万物それぞれに神様が宿っているという考え方なので
主人公も様々です
日本神話で特に有名なのは伊勢神宮に祀られている天照大御神ではないでしょうか
太陽神とも言われるので、星にちなんだ神様といえば神様ですが
ギリシャ神話のように星座に関わっているとか、そういったことはないようです
星に関する神様は唯一、一柱いらっしゃるのですが
悪い神様として伝説に残っています
なぜ、悪い神様なのか・・・それを考察するのもおもしろい
昔の人はどのような想いで宙を見上げていたのかイメージしながら
神様のお話と宙を結びつけたりしています
日本の星の話と言えば、野尻抱影さんの「星と伝説」がまず出てくるのではないでしょうか
文化的な側面から天文学をみるようになって思うのは
「宇宙」という未知の存在を語るときは
あらゆる角度からアプローチすると自分の持つ宇宙観が広がるということ
日本の神様や星伝説を調べていくと
昔の人がどんなアプローチで宇宙を捉えていたのか感じられます
そして私たちと宇宙の関わり、自然とのつながりに思いを馳せます
「宇宙を知ることは、私たちを知ること」
この言葉は文字として理解してきましたが
日本の神様の本を読んで、意味を納得できた気がします
いつもと違う角度でモノゴトを見るって大切ですね
最後に、エミール・シオランというルーマニアの思想家の言葉を置いておきます
ダメな詩人がいっそうダメになるのは、詩人の書くものしか読まないからである。
植物学や地質学の方が、はるかに豊かな栄養を恵んでくれる。
人は、自分の専門を遠く離れたものに親しまないかぎり、豊穣にはなれない。
(「生誕の災厄」より)
宇宙を学べる大学を目指すためなら、理系教科が重要でしょう
でも、これからずっと天文学を学び続けたいなら
文系教科もしっかり基礎を学んでおくと
より豊かに天文学を学んでいけると思います