大学で学びたい内容、研究したいテーマが決まっているのなら
それが実現できる大学を選びたいですよね。
今回の体験談の主人公であるT君には
”宇宙物理学、特にブラックホールとその周辺で起こる現象を学びたい”
という具体的な目標がありました。
その願いを叶えるために、T君はどのように志望校を選択し
宇宙を学べる大学に進んだのでしょうか。
宇宙の美しさと不思議さに心惹かれた
T君が宇宙に魅了されたきっかけは中学校2年生の夏休みのできごと。
「宇宙300の大疑問(ステン・オデンワルド著、講談社ブルーバックス)」
という本が目にとまり
表紙カバーに使われている超新星残骸の画像の美しさに魅了され
こんなモノが自然界に本当にできるのか!?と衝撃をうけます。
その後、他にも数冊の新書や文庫本を読むうちに
宇宙物理学、特にブラックホールとその周辺で起こる現象に興味を持ち
研究者を志すようになりました。
やっぱり宇宙の魅力には勝てない・・・
具体的に大学で学びたい分野を持っていたT君ですが
中学2年から一途に宇宙物理学のみを志していたというわけではないそう。
プログラミングについての参考書も読んで練習をしたこともあったし、
高校生の頃、研究機関のサイエンスキャンプに参加したときには
他の分野に興味を持った時期もあったとのこと。
それでもやはりT君の目に一番魅力的に映ったのが宇宙物理学。
目移りした時期もあったけれど、宇宙の魅力にはどれも勝てなかったようです。
ちなみに、小学生の頃の夢は考古学者か小説家だったみたい。
何がきっかけで、いつ、何に進むのかなんて分らないものですね。
「宇宙を学べる大学リスト」を徹底的に調べる
志望校を決めるためにT君は
「宇宙を学べる大学・天文学者がいる大学」に
掲載されている大学のホームページを片っ端から検索。
カリキュラムはどうなっていて、どんな研究者がいて
宇宙物理学のグループの規模はどのくらいなのかを徹底的に調べました。
その中でT君がポイントにしたのは次の3つ
1.宇宙物理を専門とする専攻、コースがある国立大学
2.自分の偏差値帯に合っているか
3.在学していた高校のカリキュラムでも2次試験の科目の対策できるか
高校3年後半まで塾や予備校に通っていなかったT君にとっては
高校での受験対策だけで試験に対応できるかどうかがとても大事。
3番目の基準を設定することによってかなり大学を絞られ
最終的に進学することとなったT大学を受験することになりました。
さらに、T君は中学時代から
「大学には宇宙を勉強しに行くんだ」と公言し
それが実現することを信じていたと話してくれました。
受験勉強を進めていくなかで自信をなくしてしまうような場面は
たくさん出てくると思います。
そんな時に「自分は努力してもだめなんだ」とあきらめるのではなく
「これだけ努力してきた自信はある」と前向きな気持ちを持ち続けてほしいです。
実は一浪して志望校に入学しているT君。
浪人時代もあきらめずに前に進むことができたのは
周りに公言していたからこそかもしれません。
前向きな気持ちを維持するために誰かに公言しておくことは
自分自身に刺激を与え、勉強を取り組む姿勢にも反映されます。
そしてなによりも
「あの子は目標に向かってとても頑張っているね」と
周りのみんなが見守ってくれるようになることが
公言することで得られる一番うれしい効果です。
視野は広く!
やりたい研究分野がすでにあったT君。
大学入学後はもちろん宇宙物理学を学ぶのですが
広く基礎を学んでおくために
卒業研究ではやりたい分野とは少し違うテーマを扱ったそうです。
このとき学んだことは他の研究を理解する際に非常に役立つことになり
自分の興味とは違うと感じていることも広く学ぶことは大切だと実感。
「私はこれが研究したい」という場合でも
考えが偏ったり凝り固まってしまわないように
あまりそれだけを見つめすぎず、最初は視野を広く持つことが大事。
大学入学後にやりたい分野と違う内容を勉強することになっても
それを学んだことが無駄になることはありません。
T君から受験生のあなたへ
みなさんは「大学で学ぶ」と言う場合、どのような印象をお持ちでしょうか?
大きな講義室で教授の話を聞く?
図書館で貴重な蔵書を読む?
「研究」という面で言えば、新しいことをすることが求められます。
基礎となる知識、もしくは種となるアイデアを学び
先人たちの研究を踏まえた上で
なお残る問題や新たに自分の中で生まれた疑問をもとに
人類の英知を積み上げていくことです。
大学教育では最初の基礎となる知識についての授業が大半だと思います。
「いまは何がしたいかはっきりしていないけれど、なんとなく天文が好き」
といった人も大学の授業を通して興味が湧いたことをテーマにすると良いと思います。
高校生のうちは詳しくないのは当たり前なので
そこはあまり気にしなくていよいです。